”安房国”へ逃亡したルートは一種の賭けだった。 当時の京の将軍「足利義教」に反旗を翻した「足利持氏」の遺児を護り、戦に敗れ逃亡した義実達は、いわゆる反逆者だ。日本全土を敵に回した彼らにとって、陸の孤島である辺境の地 ”安房国”が、唯一の逃亡先になっていた。 下総国からのルートは、富山をはじめ山や谷に阻まれ困難を極める。そこで義実達は、海からのルート三浦半島から、船で渡る方法を選んだ。だが、三浦半島の先端にある矢取までは、関東の拠点、鎌倉を横切らなければならない。義実達にとっては、一つ間違えばすぐに捕らえられてしまうリスクを伴う賭けであったのだ。 敵からすれば、まさか逃亡するのにわざわざ本拠地へ向かうとも思っていなかったのか、義実一行は神懸かった運に恵まれ、矢取から無事に安房へ渡ることができたのである。それこそ龍神のご加護があったのかもしれません。 因に、原作では氏元は「龍の股らしきものが鱗のように光る」のを眼にし、義実は「その尾と足」しか目撃していません。義実も「全身が見られなかったのは、かえすがえすも無念だ」と語っています。漫画で絵にする際、空を舞う龍の全身像を是非とも出したかったという思いもあり描きました。 そんな義実達が、たどり着いた安房国では、いったい何が起こっていたのか。
引き続き、お楽しみください。
Comentários